放送やインターネットサービスを通じて、あらゆる子どもたちの「学び」を支えることをNHKは目標としています。そのことが改めて問われたのが、新型コロナウイルスの感染拡大でした。
2020年2月、国が全国の学校へ臨時休校を要請。ほとんどの学校が休校となりました。多くの子どもたちが授業を受けられなくなり、学校現場からはNHKがインターネットで提供している動画を活用できないかという問い合わせを多くいただきました。NHKでは9,000本以上の動画コンテンツを「NHK for School」として提供していました。ただ、「NHK for School」は主に先生が教室で利用することを前提としており、子どもたちが1人で学ぶことを目的としたものではありませんでした。
そこで、子どもたち自らが「NHK for School」を見て学習できるように、新たな機能を追加しました。子どもたちが自宅でも理解を深められるように、先生が授業で説明する内容などを「ワークシート」にまとめて提供しました。さらに子どもたちが動画の選択に迷わないように、学年に合わせて、全国の先生たちが選んだおすすめの動画を「プレイリスト」にまとめ、毎月配信しました。
こうした改善にいち早く取り組めたのは、これまで学校の先生たちの意見を取り入れながら「NHK for School」などの教育コンテンツを制作してきたからです。
NHKでは、先生たちや子どもたちの声を大切にしています。そのため、ディレクター自らが教室に足を運び、制作した番組が先生たちにとって授業で活用しやすいか、子どもたちの反応はどうかなどを把握して、番組づくりに反映させています。子どもたちは正直なので、内容がつまらないとすぐにあきてしまうこともあります。こうした教育現場とのキャッチボールの経験が、今回のコロナ禍の対応にもつながりました。
子どもたちの「学び」を支えるという私たちの取り組みですが、まだまだ足りないと感じています。その1つが字幕放送の充実です。聴覚に障がいがある子どもたちや、日本に住んでいる外国人の子どもたちから、もっと字幕放送を増やしてほしいという声が寄せられています。
「NHK for School」では、現在9,000本以上の動画のうち、字幕が付いているものは1,500本程度です。NHKでは「放送を通じて教育の機会均等のために努力する」と定めており、引き続き取り組んでいきたいと思います。
こうした取り組みが続けられるのも、みなさまに支えられた受信料制度があるからです。学校でも、家でも、誰でも、等しく学べるように。